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しごとのはなし パース屋さん?

会員コラム 文 : mic正会員 遠藤 容子 2014年1月

 私は「インテリアコーディネーター」ですとは大手を振って言えない所があります。確かに、若かりし頃(何年前になるかは・・?苦笑)目指したい職業は?と聞かれれば、そう答えていた記憶があります。今みたいに、「インテリアコーディネーター」という職業が当たり前ではなく、横文字の素敵な香りのする言葉だった頃の事です。目標に向かって何でも吸収しようと、洒落た店やビルや住宅を探索しました。ネットなんて無いのですから自分の足でお金を使って行ったものです。今考えれば、その頃何を見たか、実は余り覚えていません。貧乏なバイト学生ですから、高いコーヒー等を飲み何か贅沢な気持ちになっていた様な気がします。

 貪欲でがむしゃらな時があったからこそ、今の自分がいるのだと思います。「人生で経験する全ての事は、無駄な事は一つもないのですから・・・。」とはよく聞く言葉ですが、その言葉をしみじみと感じるのは、つい最近の様に思います。様々な人と出会い、その一瞬をひたすら一生懸命過ごす事で、何年後何十年後に芽が出てくるのだと。


パースやさん?

 私の仕事はパース屋です。パース屋といっても、それまで描いていたものは「インテリアコーディネイト」の為のパースではありませんでした。住宅はもちろんの事、海、山、ダム、消防署、ビル等を描いていたので、コーディネーターの必要なパースは何なのかを理解するのに、かなりの時間を要しました。『パースセミナー』の講座を開催した時も、何を伝えたら解り易く抵抗なく描いて貰えるのか試行錯誤を繰り返しました。毎回違う方法で、最終的に何を描きたいのか、どういう風になりたいのかを考えてもらった上で進めていきました。パースは一人一人解らない所が違うので、確実に習得したい方は個人レッスンの方が良いのです。コーディネーターの方たちも、必要性を感じながらも実際使えるようにするには、どこまで習得すればよいのか想像出来なかったのだと思います。パースが描けたら仕事の幅はもっともっと広がるのは解っていても、習得するまでかなりの時間と能力を要するので断念してしまいます。私も含めてなんですが新しい事をする時は逃げ道を作っておくと必ず逃げてしまうから逃げられない状況におかないと習得は不可能なんじゃないかと・・・この山を越えない限り次は無いと思わないと・・昔の人のキャラですかね?( 苦笑 ) 山を越えなければいけない程切羽詰まった方は、ご一報ください!


穏やかな気持ちで

 現在の仕事は、リフォームのプランを考えたり、CADで図面を書いたり、パースを描いたり、プレゼンボードを作成したりと作業内容はさほど変わりません。CADを習得するまでは大変でしたが、今は穏やかな気持ちで仕事をさせて頂いています。もちろんコーディネーターの仕事もしています。でも、どこまでがコーディネーターの仕事なのだろうと疑問に思う所です。実際、私はお客様とお会いするのは1割程ですが図面を書いたり、パースを描いたり、平面プランを作ったり、プレゼンシートを作ったりお客様の顔が見えない所の部分にはかなり登場しています。営業マンが持つツールの作成をしていますが新築の決まったツールのようにはいきません。お客様の要望が様々で毎回頭を悩ませています。最近の私の引出しはネタ切れでスカスカの状態です。
 リフォームの営業マンは、新築の営業マンとは又違ったお客様との信頼関係が必要とされている気がします。年配の方が多いのも一つの理由かと思われますが、一か所のリフォームが始まると次々とリフォームが出てくる為、何年ものお付き合いになる可能性があります。その為、担当の営業マンが全ての窓口になりますので、肩の荷はかなり重い物になります。

 そういえば、最近は外構のパースも多く庭師のように植物の本を読みあさっています。
植物の形も特性も何も知らない自分にビックリしています。今まで、植物はパースの付属品でしかないのですから、いきなり主役にしようとしても無理なお話ですよね。ただ、ここで描くパースは完成パースではなくお客様を掴む為のパースなので、何枚も何枚も要求されます。実は、何枚も描いてきましたが一つとして私の描いたものが実現した事はないのです。(決定したものを描く時は別ですが・・)最初は少しガッカリもしましたが、今はとても楽しいです。だって、しばりが無い分夢と理想を描きまくっているのですから・・笑。契約になって工事が始まる頃には、とても現実的なプランでまとまっているのです。それがパースの仕事の一つなのだと思います。会社の売上あってこそ成り立つものなので、夢と現実を繋ぎお客様と会社を繋ぐ事が「インテリアコーディネーター」の仕事である事もしみじみと痛感します。今は焦らずお客様の顔を想像しながら要求の一つ一つを穏やかな気持ちで描いています。



私の終着点は?

 最近「インテリアコーディネーター」って終着点がない事を強く感じます。自分が満足する終着点はどこなのか考え始めると、迷子になります。いや・・無いのかな〜終着点。。定年は無いけれど、体力的な限界と、能力的な限界はやってきます。「自分が終わりだと思った時が終わりです」と、人はよく云いますが その終わりを自分で決断出来ないと思います。 どうなる事やら・・・これからのお楽しみ?恐怖?って事ですかね。
 インテリアコーディネーターって一人一人違って当たり前。フリーで活動している方達は、さらにその違いは出てくる事でしょう。ひとつひとつ積み重ねるものが違っていると全く違う物が出来上がりますから、未来の自分を想像しながら積んでいきたいなと思ったり、流れにまかせていくのもいいかなと思ったり、未だ瞑想中なのです。
 瞑想中とはいえ現状は、日々の生活が精一杯で新しい事が出来ない状況。毎日毎日同じ事の繰り返しに追われ、先の事を考える余裕が無いのです。「このままでいいのかな〜?」って常に考えています。・・・苦笑。この業界に入ってからは、葛藤の毎日です。自分の士気を向上させるのは大変な事です。回りに振り回されてくじけそうになるのは常です。自分だけではどうにもならず廻りの方達に助けられて生きています。でも、私は思うのです。その時その時を、精一杯あがき考え行動する事。そうすると、少しづつ人生の路は変わって行くのだと・・。行動した分だけ、たくさんの人と出会い様々な経験を頂くのですから。
 自分の終着点を探しながら、何かを始める準備に取り掛からなくてはいけませんね・・・・・これから出会う人達はどんな人達なのか想像しながら。。。。。

おまけ・・2014年 私 『 一番 大吉 』を引きました。(記憶の中では10年程前ですが一番ではないです。) 今年は挑戦とひらめきの年らしいです。闘争心がみなぎってきたかもです。

MICの方達、それに携わっている方達も2014年すばらしい年になりますように。


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